池袋の歯科医院掃除での奇跡

東京で大学院生をしています。

学費と生活費はアルバイトで稼いでいますが、今月かなりピンチです。バイト代が入ってくるまでまだ1週間ありますが財布の中は5千円しかありません。

1日700円で過ごさなくてはなりません。米はありますから自炊でいけば死ぬことはありませんが、明後日、土曜日に彼女とデートでしかも明日が彼女の誕生日なのです。5千円でどうやって彼女と過ごそうか。プレゼントどころの話ではなく夕食をおごることもできません。

パチンコで増やすことができるかな。でも負けたら終わりだし。となると、やはりお金をどこかで借りるしかありません。まだキャッシングはしたことがありませんから審査が通るかどうか分かりません。

だいたい無職である大学院生がお金を借りることができるかも分かりません。でも必要なお金は3万円くらいです(彼女へのプレゼントと夕食)。そんな少額でキャッシングをすべきかどうか。日雇いの掃除の仕事もあると思います。明日、いい仕事があるかどうか。高田馬場駅にあのおじさんいるかな。。

以前、日雇いの掃除の仕事をしたことがあるんです。高田馬場駅に朝行って、することないからタバコをくわえてボーっと突っ立っていると「仕事あるよー」と声をかけてくるおじさんがいました。全くお金もなく、といってすることも他になかったのでおじさんに「あ、やりたいです」と返しました。聞いてみると6時間ほど働いて日当1万円だそうです。

「じゃ、こっちきて」と駅前に停まっている白いハイエースに連れて行かれました。中には5人、汚いカッコをした中年の痩せた男、長髪の若い人などが座っていました。

車が出ると、先のおじさんが「今日は池袋で歯科医院の掃除だよ」と言いました。ハイエースからバケツやモップや洗浄剤を降ろして、次々と歯科医院に運び込みます。
そこから昼休みもなく3時頃までずっと掃除です。掃除の仕方はおじさんが教えてくれました。

さすがに終了間近の頃にはお腹が空きすぎてフラフラです。早くお金をもらって牛丼屋で特盛りでも食べよう、と固く決心しました。

ところが、なんと終了したあと、そこの院長さんみたいな人がやってきて「みなさん、お寿司をとったので食べていってください」と言うではないですか!なんとキッチンには使い捨てではなく、ちゃんとした桶に入った寿司がドーンと待ち構えていました。夢でも見ているようです。

回る寿司ではなく、本物のお寿司屋さんの寿司ですよ。僕ら合計6人の作業者は貪るように寿司を食べました。トロ、ウニが美味すぎます。普段食べる回転寿司とは雲泥の差です。なんかすごく幸福感に満たされました。最後におじさんに1万円の日当をもらって帰路につきました。